今日、仕事を辞めた。大学を卒業して以来、働き続けてきた仕事を辞めて、フリーランスになったのだ。もう上司に縛られることもない。会社に縛られることもない。僕は、自由だ。
そう信じていたあの頃が、仕事を辞めて強く自由を実感したあの頃がひどく懐かしい。あの頃の僕は純粋で無垢だった。会社という呪縛から解き放たれ、自由を手にしたのだと、心から喜んでいたのだから。
あの時はまさか、近い未来、こんなことになるなんて、少しも思っていなかった。僕はまったく何も知らない、ただの子どもでしかなかったのだ。
仕事を辞めてフリーランスで食べていこうと決めた僕だったけれど、当然のことながら、簡単ではなかった。僕は最初から躓くことになる。
「企業」というネームバリューを持たない、ただの「僕」は、この広大な社会という砂漠の中に身を置くには、あまりにも頼りなかった。
収入はちっとも増えない。僕は食費を削った。今まで買っていた娯楽も一切やめた。そうしなければ、立ち行かない状況にはすでになっていたのだ。
にもかかわらず、会社員時代のお金は凄まじい勢いで減っていく。税金だ。税金として納めるお金が、生きているだけの僕の生活を蝕んでいる。
僕は法律や税金のことなんてさっぱりわからない。苦手な分野だった。何を言っているのかすらも理解できないし、端的に言って嫌いである。
だが、フリーランスとなり、社会の前にただの「僕」となった今、法律や税金について勉強することは、火急の問題であるということにようやく気付いた。
貯金から次々と抜き取られていく税金。仕事を辞めた僕に収入は未だなく、ただ減っていく通帳を眺めるだけの生活だった。
なんとかしなければ。これではフリーランスどころじゃない。僕はそう思い至って、法律や税金のことについて学ぶことを決意した。
そうして手に取ったのが、師走トオル先生の書いた『フリーランスが知らないと損するお金と法律のはなし』である。まさに僕にピッタリの、おあつらえ向きのタイトルだ。図書館で借りたから費用もかかっていない。
読んでみて、まず僕は、前書きから驚いた。「税金を駆使することで、百万どころか三百万も得をすることができる」と書かれていたからだ。
得をする、というよりも、つまりは税金の制度を利用することで数十万以上、払うお金を減らすことができる、ということらしい。
これだ。これこそが、僕が求めていたものだ。税金で苦しんでいる今の僕にとって、それは差し出された救いの手のようにすら思える。
確定申告をはじめ、今まで会社にやってもらっていた面倒な諸々を、これからは僕自身がしなければならないのだ。そのためにも、学ぶことは必要なことだということを、改めて実感した。
本には、具体的な数字を踏まえて、制度を利用することでどのくらいの額を免税することができるのか。明確な数字を示してくれることが、より信じられる気がした。
会社員を辞めてフリーランスになることで、改めて知ったことがある。
日本は会社優位の社会だ。会社に所属することで、僕たちはさまざまな特権を利用することができる。フリーランスに対して、制度は何も容赦してくれない。僕たちはたったのひとりで、社会に立ち向かわなければならないのだ。
武器となるのは、知識だ。正しい知識を身につけることで、制度を利用することができるようになる。法律や制度を利用することで、自分が優位に立てるように動くことができるようになるのだ。
だが、大切なことがひとつ、ある。それは、黙っていても、誰もその知識は教えてはくれないのだということだ。自分から知識を学ばなければならない。それこそが、たったひとりで社会に立ち向かう第一歩だ。
フリーランスの必読書
フリーランスというのは大変不安定な職業です。収入は毎年激変しますし、退職金もなければ失業保険もなく、それどころか育児休暇や有給休暇、傷病休暇の類もありません。
つまりフリーランスは自分で将来への備えをしなければなりませんが、一方で襲い来るのは誰もが腰を抜かす税金の数々。
ただその一方で、税金の多くはさまざまな制度を利用することで数十万以上安くすることができます。
またフリーランスといえば、毎年必ずやってくるのが確定申告です。ではその確定申告とは、具体的に何をするものかご存知でしょうか? あるいは確定申告をしないことで損をするケースがあることは?
そしてお金の制度だけでなく、法律を知ることも重要です。しかしそういったフリーランスにとって必須の制度は義務教育では教えてくれません。ほとんどすべての制度について言える話ですが、あなたが自分で知ろうとしない限り誰も教えてくれないのです。
ただでさえフリーランスは自分が倒れたらそこで終わりです。「あのとき適切な制度を利用していれば」と思う時が来ないとも限りません。
もしあなたがフリーランスである、あるいは将来的にフリーランスになる予定があり、かつ本書の制度に少しでも興味を抱いていただけたら、是非もう少し先まで読んでみてください。
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