もう、店を畳むしかないのだろうか。誰もいない店内を見回して、俺はため息をついた。経営はどんどん厳しくなっていく。そろそろ、覚悟を決めなければいけないのかもしれない。
「ええっ、もう閉じるの、この店」
常連客の高梨さんが目を見開いて驚きの声をあげる。開店してすぐの頃から通ってきてくれている唯一の常連客で、もはや友人と言ってもいいくらいの仲を築けていた。
「はい、もう潮時だろうな、と」
そもそも、店は繁盛しているとは言いがたかった。平日の昼間にぽつぽつとお客様が入ってくるだけ。静かに飲食を好む客が常連客としてよく訪れてくれた。
常連客たちとは良好な関係を築けていると思う。だが、彼らもいつも来るわけじゃない。稼ぎとしてはほんのわずかで、毎年赤字の更新ばかりだった。
どうにかしなければ、という焦燥感に駆られながらも、どうすればこの状況を打破できるのか、さっぱりわからなかった。手をこまねいている間にも、お金はどんどん減っていく。
もちろん、何もしなかったわけじゃない。ネットでの宣伝や、営業をかけてみたこともある。お客様に出す料理の研究はもちろん続けており、初見のお客様からも好評を得ている。
だが、それでも成果は伸びなかったのだ。いや、正直に言うなら、もう俺は半ば諦めていたのだ。昔から憧れてきた飲食店の店長。その経営が、こんなにも難しいものだとは思っていなかった。全てにおいて、俺の考えは甘かったということだろう。
「というわけでして」
経済的に厳しいという事情は、本来お客様に話すべきではないのだろうが、気が付けば高梨さんに全て話してしまっていた。年上で大らかな彼には、どこか相談しやすい雰囲気がある。
「いや、すみませんね。忘れてください」
俺は慌てて謝罪した。さすがに客に相談することではないだろう。だが、ふと見れば、高梨さんは何やら考えるように黙り込んでいる。
やがて、「そうだ」と言うと、彼は自分のカバンを探って、一冊の本を取り出した。それを彼はカウンター席の上に置く。
表題には、『400円のマグカップで4000万円のモノを売る方法』と書かれていた。なんだそれは、とまず思った。どういうことだろう。
「僕はまあ、ただの客だからね、あまり気軽に『こうすれば』とか無責任に言えないけれど、やっぱりお気に入りのお店がつぶれちゃうのは哀しいからさ、この本、店長さんに貸してあげるよ」
読んでどうするかは、店長さん次第だね。彼はそう言って笑った。まあまあ、騙されたと思って読んでみなよ。彼は代金を支払うと、そのまま出ていった。本を置いたまま。言い慣れたありがとうございますが、自分の口から無意識に飛び出す。
俺はしばらく、その本を眺めていた。それが何になるのかはわからない。だが、高梨さんの好意だというのはわかった。つまり、彼は俺がこの本から学ぶものがあるのだと判断したのだ。
俺はページをめくってみる。最初の数行で、すでに心が持っていかれた。やってもやっても努力が実らず、諦めの気持ちが生まれて、悲観的になる。まさにそれは、今の俺だったのだから。
だが、この本は言う。「儲けるのは簡単」なのだと。「経営は努力するから儲かるのではなく、儲ける仕組みがあるから儲かるのだ」と。
儲かる仕組みとは、いったい何だ。俺はしばらく、その本を読み続けた。ストーリーで説明してくれているからか、すらすら読めてわかりやすい。
そして何より学んだのは、「諦めない」ということだった。諦めると、そこで終わりだ。自分の頭で必死に考えて、根本から考え直してみることが大切なのだ。
読み終わった時、俺の考えは変わっていた。俺の心を占めていた諦めの心がなくなっていたのだ。まだ、足掻いてみよう。
儲けることは、簡単
「何でウチだけ、儲からないのだろう?」
そう思っていませんか? やっても、やっても努力が実らず、だんだん諦めの気持ちが生まれて、次第に儲けることは難しいと悲観的になってしまう……。
そんな人たちに私がお伝えしたいのは、「経営は努力をするから儲かるのではない。儲かる仕組みがあるから儲かる」ということです。
多くの人がその「儲かる仕組み」がある事実を知らないでいるのです。世の中の儲かっている会社には、「マル秘の儲かる仕組み=ビジネスモデル」があり戦略もしっかりあるものです。
ちょっと仕組みを考えれば、儲けることは難しいことではありません。でも、経営者の方の中には、複雑に考えすぎてしまっていたり、やり方を知らない方が以外にもたくさんいらっしゃいます。
そこで、私が考える「儲かるビジネスモデル」の作り方について、もっとわかりやすく伝え、多くの方に知ってもらえたら喜んでいただけるのではないか、と思ったのがこの本を書こうと思ったきっかけです。
読みやすく、面白く、読んでいただけるよう「ストーリー仕立て」にして、その中に「実際に儲かっている会社の事例」をふんだんに盛り込みました。
この本を読んでいただくことで「こうすれば儲かる」ということが、おわかりいただけるでしょう。そして、「自分にもできる!」と、脳にスイッチが入ると思います。
ぜひ、この本で新しい扉を開けてください。「儲けることは、簡単」なのですから。
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