自由な時間でお金を稼ぐ『これで金持ちになれなければ、一生貧乏でいるしかない。』金川顕教


 誰もが名前を知るような有名な一流企業に就職が決まった時、私は『これで勝ち組になれた』と感じた。

 

 

 私の人生が今後、コケることはない。一流企業とは、すなわちこの上なく安定している、将来が約束されているということだからだ。

 

 

 エリートにしかなれない、会社の一員。給料も高い。今まで私を見下してきた奴らの顔を見るのが楽しみで仕方がなかった。

 

 

 今にして思えば、入社した頃の私は、なんと楽観的であったのだろう。その報いを、私は受けることになった。

 

 

 多忙である。とにかく多忙であった。仕事時間中はとにかく常にあちらこちらへと動き続け、家に帰ってからは泥のように眠った。

 

 

 残業なんてない日の方が珍しく、それでも終わらない仕事は家に持ち帰ってすることになった。空が白んだ頃にようやく終わり、出勤までのわずかな時間を睡眠に費やす。

 

 

 休日なんてないようなものだった。会社に顔を出し、平日に終わらなかった仕事に取り掛かっていく。夕方まで潰れるのはいつものことだった。

 

 

 今にも倒れそうだった。いっそ、倒れてしまえばどれだけ楽だろう。しかし、人間というのは丈夫なもので、意外と平気なのだ。それがたまらなく憎らしかった。

 

 

 仕事が終われば、また次の仕事が上司から言いつけられた。その繰り返しだ。仕事がなくなることはなかった。

 

 

 給料は高い。それはたしかだ。私の銀行残高には、若い頃の自分が見たら目が飛び出るような途方もない額が入っている。

 

 

 しかも、月ごとにそれはさらに膨れ上がっていくのだ。働いた分だけ、見返りはあった。それは言い切れるだろう。

 

 

 しかし、今の私はそれすらも喜ぶことができなかった。それどころか、巨額が記された給与明細を目にする度に、私は憂鬱に苛まれるようになった。

 

 

 金ならある。しかし、お金が貯まっているのは、使うところが一切ないからだった。

 

 

 友人との遊びも忙しさに追われてすべて断り、家族とも会わなくなった。人との距離は遠くなり、目を合わすのは、嫌味を言ってくる会社の人間ばかりだった。

 

 

 ちょっと贅沢をして食事を豪華にしてみても、おいしいとはとても思えず、ただ虚しさが募っていくだけだった。

 

 

 日々蓄積していく疲労と睡眠不足で集中力は鈍り、仕事上でのミスが増えていく。毎日定時に帰っている上司に叱られながら、意識が遠くなっていくのを感じた。

 

 

 帰れないのは、私の自業自得なのだ。私の要領が悪いから、こういうことになるのだ。そう思えば思うほど、自分が生きる価値のない人間のように思えてくる。

 

 

 目の前が真っ暗になったのは、その時だった。自分が倒れたのだと知ったのは、それから随分と後になってからだ。医師には過労と診断された。

 

 

働くだけの人生は幸せか?

 

 この世は金が全てだ。金をたくさん持っていれば、それが幸せになることへの近道なのだと信じていた。

 

 

 今の私は金持ちだ。そこらの木っ端企業の会社員の給料とは比べ物にならないほどの貯金が、私の銀行口座にはある。

 

 

 だが、私は幸せか、と暗闇の中で自らに問う声がある。その声に、私は答えることができなかった。

 

 

 金があるだけでは、人間は幸せにはなれない。私はようやく、そのことに気付いた。  

 

 

 もちろん、金も必要だろう。しかし、それだけではないのだ。金があっても、使えなければただの紙切れと何も変わらない。

 

 

 時間だ。金だけではなく、私は時間も手に入れなければならない。過労で倒れたことは、そういった意味ではいい機会なのかもしれない。時間がたくさんできた。

 

 

 私はその時間を本を読んで過ごした。中でも、金川顕教先生の『これで金持ちになれなければ、一生貧乏でいるしかない。』は私の常識を打ち壊した。

 

 

 食べていくにはお金が必要だ。金を手に入れるためには、働かなければならない。それは、誰もが知っている常識だろう。

 

 

 しかし、その本はそれを否定していた。企業に就職して働く以外にも稼ぐことができる道があるのだと、その本は教えてくれる。

 

 

 『時給思考』という考え方は、月収や年収に支配された私の考え方を大きく変えた。

 

 

 私は、今までどれほど狭い世界で生きてきたのだろう。いい企業に就職して、金を稼ぐこと。逆に言えば、私にはそれだけしか世界がなかったのだ。

 

 

 もっと、色々なことを知りたい。私の中にそんな渇望が現れるのは初めてのことだった。

 

 

 私は牢獄にいた。自分で作り出した常識という牢獄だ。だから、その鉄格子から外に出た時、世界に広がる自由の大空に、私は圧倒される思いだった。

 

 

 退院し、仕事に復帰すると、あからさまに同僚や上司からの当たりが強くなっていた。

 

 

 私が倒れたことで、私の受け持っていた作業が彼らに負担を与えたことが原因のようだった。

 

 

 あっという間に私は地位を追われ、職を失うまでに、そう時間はかからなかった。

 

 

 しかし、会社を去る私の胸に、悲壮はなかった。むしろ、ここから人生が始まるのだという不思議な高揚があった。だって、こんなにも空は広いのだから。私はそれを知っているのだ。

 

 

幸せにお金を稼ぐ

 

 現代社会において、人は自分が持っているお金の金額が大きければ大きいほどに幸せになれるのだとつい思い込んでしまうもの。でも、それは本当に正しいのでしょうか。

 

 

 お金があればあるほど、基本的な悩みは解決できるかもしれません。しかし、そのなかでどうしてもお金だけでは解決できないのが「時間」の問題です。

 

 

 つまり、いくらお金があっても、自由な時間がない限り、幸せになれないということ。

 

 

 そこで、幸せなお金持ちになるために、私が考えてほしいのが「時給で自分の労働とその対価を考えてみる」という思考法です。

 

 

 単に年収や月収というものさしで人生を考えないということ。自由な時間が得られないと、仮に高い収入を得ても意味がありません。

 

 

 自分の収入と労働時間を比較した「時給思考」で自分自身の働き方を見直した時に、あなたは今満足いく「時給」を得られているでしょうか。

 

 

 幸せなお金持ちになる方法は、決して簡単なものではありません。収入と職業だけに左右されず、より「幸せ」にお金を稼ぐ体験を、この本を通じてもっともっと多くの人に実感してもらえればと思います。

 

 

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