人と人とがつながる豊かな生き方『55歳からのフェイスブック入門』小川和也


「え、お前、フェイスブックやってねぇの?」

 

上司に驚いたようにそう言われて、私は少しばかり憮然となる。とはいえ、やっていないのは事実だ。というよりも、ぱっと頭に出てすらこなかった。

 

「ええ、聞いたことくらいはありますが」

 

一時、若い世代が騒いでたような気がする。いや、あれはツイッターか。写真がどうこう、とかいうのは、たしか、インスタグラムとかいうやつで。

 

ああ、そうだ。フェイスブック。たしか映画でも見たはずだ。『ソーシャル・ネットワーク』とかいうタイトルの。

 

「いや、すみません、どうにも私はああいったものは苦手でして」

 

「ああ、お前は苦手そうだな。もったいない、いいスマホ持ってるのに」

 

私が愛想笑いを浮かべて言うと、上司は苦笑して答えた。先日、携帯電話を変えたばかりだ。せっかくだからとばかりに最新式のスマホとやらを買ったのだが、未だに妻との電話以外に使ったことがない。

 

昨今、スマホやネットが世の中を席捲していくにつれて、今までなかったような新しいものが次々と現れ始めた。SNSやらアプリやら、たくさんありすぎてもはやよくわからない。

 

私はいわゆる古いタイプの人間で、スマホやネットには最初から忌避感を持っていた。騒ぎ立てている若者たちを斜に構えて眺めていたら、いつの間にかそれは予想以上に社会を変え始めて、私は完全に時代遅れになってしまった。

 

一方、目の前にいる上司は私が新人時代からお世話になっている方で、私よりも年上にもかかわらずネットもスマホも完璧に使いこなしている。先日などは孫の写真を散々見せられて辟易した。

 

「フェイスブックはいいぞ、便利だし。俺たちくらいのサラリーマンの中にも使っている人は何人もいる」

 

「でも、危ないじゃないですか。ネット上で相手の素性もわからないままなんて。実際、それで事件がいくつも起こっている」

 

「いやいや、それはツイッターとかの話な。匿名で、性別も素性も隠すことができるから問題になることが多いんだ」

 

「フェイスブックと何が違うんですか?」

 

「フェイスブックは実名じゃないと駄目なんだ。顔写真もな」

 

「なら一層危ないのでは?」

 

「いやいや、顔や名前が出てるから相手も悪いことができないのさ。だから、むしろSNSの中では信頼性は高いぞ」

 

ビジネスでの連絡が取りやすい。登録しておいて損はないよ。尊敬する上司からそう言われて、私は迷った。たしかに、SNS嫌いを標榜してきたが、時代は変わりつつある。ましてや、仕事に使われるとならば、私が我儘を言っている暇などないのではないだろうか。

 

「といっても、やり方とか何もわからんわな。ほら、この本、貸してやるよ」

 

彼はカバンから一冊の本を取り出して、私に手渡した。それは、『55歳からのフェイスブック入門』と書かれている。おいおい、ドンピシャじゃないか。私はまさに今、55歳である。

 

「まあ、俺にできることはそれくらいだ。その本を読めば、フェイスブックの使い方が何から何までわかるだろうよ。使えるようになっておけば絶対に後々便利になるぞ」

 

「わかりました」

 

彼がその場から立ち去ったのを見届けて、ため息をつく。まったく、余計な仕事を増やしてくれたものだ。読むと言ったからには、読まなければなるまい。

 

私はページをめくった。途端、私は今まで触れたことのない、未知の世界への扉を開いたのだと、明らかに感じたのだ。

 

 

フェイスブックの入門書

 

みなさんは、フェイスブックというサービスを聞いたことがあるでしょうか? インターネットを利用し、人と人がつながり、交流することをサポートしてくれるサービスです。充実した人間関係作りを支援してくれるツール、と言い換えてもいいでしょう。

 

そうは言っても、「所詮、若い人向けじゃないの?」と一歩引いている方。そういう方にこそ、この本を読んでいただきたいというのが僕の願いです。

 

では、フェイスブックを使ってどんなことができるでしょうか。

 

まずは、連絡が途切れてしまった友人や知人を簡単に探せます。昔の仲間を見つけて旧交を温めたら、彼や彼女につながっているたくさんの友達とも仲良くなってしまいましょう。

 

フェイスブックは、交流を「広げる」機能と「深める」機能が盛りだくさんです。メッセージのやりとりやチャット、ゲーム、それに文字や写真の投稿はもちろん、動画の投稿もできます。

 

情報発信の場として最適です。自分の意見や考えを発信する、自分の人間性をアピールする、ブランド力を高める、といった使い方ができます。

 

さて、このサービスを利用するには、パソコンか携帯電話を使います。しかも、どのように利用するのか、それを利用してどのようなメリットを得られるのかがわかりにくく、サービス名だけでも複雑に映ります。

 

ですから、フェイスブックというインターネットの世界の新参者に対して、自分の中に抵抗感という名の大きな壁が出来上がってしまう方は、むしろ多数派なのだと思います。

 

問題は、その初心者の方にとっての壁を崩すための手立てが、一見足りているようで、実はまだ不足しているということなのです。

 

その壁が立ちはだかる理由としては、インターネットの世界では次々と新しいサービスが登場してくるので、利用者側がそれらひとつひとつをじっくり咀嚼しきれないということがあるでしょう。

 

だからこそ、フェイスブックのようなサービスを実際に利用する前に、それらの性質を根本からご理解いただかないといけない。

 

そして実際に利用してみた先には、人と人がつながることの喜びが待ち受けていることだろう。そんなことを考えながら執筆したのが、この本です。

 

関心を持っていただける多くの皆さんの手助けができたらこれに勝る喜びはありません。本書を読み終えたその時から、さらに豊かな人生が広がっていくことを心から願っています。

 

 

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