その食堂で食べると願いが叶う『食堂かたつむり』小川糸
出来上がった料理を、フライパンから皿の上に盛り付けていく。完成したその料理を見て、私はそっと微笑んだ。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
出来上がった料理を、フライパンから皿の上に盛り付けていく。完成したその料理を見て、私はそっと微笑んだ。
蜂蜜のような明かりがカーテンの隙間から入り込む音楽室で、目を閉じてピアノを弾く彼女の姿を、ぼくは惚けたような表情で眺めていた。
私は幽霊の存在なんて信じていない。あんなのは、ただの、生きている残された人たちの心が生み出した妄想に過ぎない。
芥川賞受賞。その言葉に惹かれて、その本を手に取った。初めて読んだ時のことは今でも覚えている。あれは、そう、嫌悪だろうか。
カビの生えたパンを齧る。腹が空腹を訴えた。黙れ、今月はこれで最後だ。俺はそう言って腹を殴る。痛い。痛い。誰のせいだ。
死ぬということについて考えたことは、誰しもあると思う。私が初めてそのことを考えるようになったのは、中学生の頃だった。
私は正義の味方に憧れて、警察官になった。しかし、私たちの敵が犯罪者だけでないことを知ったのは、大人になってからのことだ。
それは熱狂だった。まさしく、文字通りの。それは大きなうねりとなって、国ひとつを巨大な怪物のように呑み込んだかのように見えた。
自分の鼓動が大きく聞こえる。ぞっとするほど寒く、それなのに汗ばんでいる。いやだ。この先を見たくない。そう思うのに、私の目は文字を追いかけ...
私は幼い頃、家が嫌いだった。お化けが連れていってくれればいいのに。暗くなってきた公園で、私はいつも、そんなことを考えていた。