人間の滅んだ世界で罪を犯した「人でなし」だけが生き残った『パライゾ』阿川せんり
あの瞬間のことを、今でも夢に見る。目が覚めた時はいつも汗で濡れていて、サイレンの音を、遠くに聞くのだ。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
あの瞬間のことを、今でも夢に見る。目が覚めた時はいつも汗で濡れていて、サイレンの音を、遠くに聞くのだ。
自分の見た目が嫌いだった。全身鏡を見るたびにため息を吐く。鏡に映る私の姿は、まるでドラム缶のよう。
大人は子どもを良い方へと導こうとする。けれど、子どもは意外と賢くて、大人が思っているよりもずっと、いろんなことをわかっている。
女子高は花園だといいます。まさしくその通り。誰もが自分こそがもっとも美しく咲こうと狙っています。その隠し持った棘で葉を切り裂き、根を絡ま...
世界が終わった。でも、たとえ世界が終わっても、私は良かったと思う。だって、そのおかげで、私は彼といっしょになれたのだから。
彼らはただの『自衛隊』でしかなかった。私はその時まで、彼らが人間だと思っていなかったのだ。
男ってホントにバカだと思う。いつまでも子どもみたいなことして、くだらないことで笑って。でも、それがどこか眩しく見える。
あれから十年が経った。高校生だった私も、今では経理の仕事も手慣れたもの。それなのに、今でも彼のことを、まるで昨日のことのようにありありと...
幼い頃、父といっしょに『水戸黄門』をよく見ていた。優しい人たちを苦しめる悪人を黄門様一行が成敗するのを見て、憧れを抱いたものだ。
扉ひとつ。彼との間はたったのそれだけ。それなのに、それだけの距離が、こんなにも遠い。