へんだけど、いとしいお笑いの世界『火花』又吉直樹
「俺、お笑い芸人になるわ」
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
「俺、お笑い芸人になるわ」
天にそびえる天守閣。かつて、その場所には天下人がいたという。その威容は、今もまだ、大阪の街を睥睨している。
『くらやみに、馬といる』を読んだ時、私はどうにも共感することができなかった。
激しい雨が降り続けている。テレビで見ると、見知った光景が、見覚えのない光景に変貌していた。電話が鳴り響く。どうして、私はあの場所にいない...
船で通学していた、と言うと、よく驚かれる。私自身、自分が学生だった頃、船での通学が決して好きではなかった。
「再会に、乾杯」 「乾杯、といっても、ジュースじゃ様にならねぇな」
僕の生まれ育った故郷は、海に浮かぶ小さな島である。学生の頃からずっと、僕はこの島から出ていきたくてたまらなかった。
私は特別な人間だ。他の人たちとは違う。だが、私には、それだけしかないのだ。
かわいいブレスレット。でも、財布の中にはお金がない。私は恐る恐る周りを見た。誰もいない。店主はどこかに行っているようだった。ごくりと息を...
家族って何だろう。楽しそうな食卓で、私はずっとそのことを考えていた。彼らが笑うその食卓に、私の居場所はなかった。