自分の話し方が嫌いだった。僕が会話に入ると、みんながひと言黙ってしまう。そのことが嫌で、でも何とかしたくて。でも、いったいどうすれば会話ができるようになるのか、誰も教えてくれない。
会話が上手くなりたい。みんなはどうしてあんなにも楽しそうに会話ができるんだろう。彼らだって、誰にも教えてもらっているわけではないはずなのに。僕と彼らとの違いは、何なのだろう。
そもそも、「会話」というものが何なのか、それが僕にはわからなかった。僕にとってそれは単なる技能やスキルではなく、何か得体の知れない、妖術のようなものにすら思えたのだ。
けれど、何としてでも、僕はその技術を身につけたかった。みんなと、楽しく会話をしてみたかった。でも、実践はできない。実践ができないから、困っている。
そこで、僕は、まず本を読んでみることにした。会話術やコミュニケーションの取り方の本はいくつも出版されている。それだけ、僕と同じように困っている人が多いのだろう。
でも、どうにもしっくりくるものがなかった。どれも、長いタイトルのものばかりで、何がいいのかわからない。そんな中、一冊だけ、厚みがあって、シンプルなタイトルの本が目に入った。
『超トーク力』と書かれている。著者はDaiGoという人だ。その名前は知っている。いくらか前に、メンタリストとしてテレビに出ていた。そして今は、いろんな本を出版したり動画を出したりしているらしい。
読んでみると、まるで親しい相手のような語り口が、まず信頼できるような安心感を覚えた。敬語なのに、どこか寄り添ってくれているかのような、不思議な言葉。
彼もまた、話すのが苦手だったらしい。いや、それは嘘だろうと思う。テレビで彼は、とても流暢に話していた。メンタリストとして人の心を巧みに操作するところまで。
でも、どうやらその巧みな会話術は、彼の努力の賜物であるらしい。いろんな人の論文などを読んでまとめたのだという。
何より勇気づけられたのは、「誰が真似をしてもできて、コミュニケーションが苦手な人でも大丈夫」だという言葉。
「話し方は誰でも、何歳からでも、学びながら鍛えることができる」と。僕でもできるんだ。今からでも、遅くない。それは、大きな勇気になった。
僕は想像した。みんなの会話している輪の中で、堂々と話している自分の姿を。言葉に詰まることなく、みんなの会話も、笑顔もなくなることもなく、なめらかにコミュニケーションがとれている光景を。
自分の姿が、みんなの輪の中にある。それが、僕の望む光景だった。その光景を僕はずっと望み続けて、そして失敗してきたのだ。
だけど、もう、あんな失敗はしない。したくない。僕は変わる。変わるんだ。そう決意して、僕は再び本と向き合った。この本が、僕の道を切り拓いてくれる鍵になる。そう信じて。
一生使える話し方の技術
「話し方」は、人生のあらゆる場面に否応なく関わってくるにもかかわらず、自分から勉強しようと思わないと誰も教えてくれない、不思議なスキルです。
好意を持って話しているのに、悪印象が残ってしまうこともあります。日本語を話せているから、説明が正確に伝わるわけでもありません。話すことがないから黙っているだけなのに、「無愛想」と責められることもあります。
いったい、何が正解なのでしょう。子どもの頃から人見知りで、うまく話せないコンプレックスを持っていた私は悩んできました。でも今は、あらゆるシチュエーションで必要に応じてうまく話せるようになっています。その変化の秘密は、話し方の科学にあります。
私は自分なりに試行錯誤しながら「話し方」という不思議なスキルを突き詰めていきました。すると、どんな会話にも一定のルールがあったのです。
どんな場面にも、どのくらいのリズムで、どういった話題を話すかの原理原則があり、それを知ることで、場を盛り上げたり、相手との関係を深めたり、説明をしっかりと理解してもらったりすることが可能です。
しかも、飛び抜けて優秀な誰かが自分の経験を背景にまとめた手法ではありません。誰が真似しても一定の成果が出せる再現性があるからこそ、科学なのです。
コミュニケーションをとることに苦手意識があっても、大丈夫。なぜなら、聞き手はあなたの口から出る言葉だけではなく、全体的な人柄を見ながら話を聞いているからです。土台となる人柄はそのままに、スキルを上乗せしていきましょう。
話し方は、誰でも、何歳からでも、学びながら鍛えることができます。『超トーク力』は、私が頼った科学的な話し方のスキルを紹介し、それを実践してもらうことであなたの人生を大きく変えていく本です。
一生役立つ「話し方」を学びたいと思っているなら、全力でオススメすることができます。この本を読んで、試してみると、あなたに対する周囲の人たちの反応が劇的に変わっていくのを実感できるはずです。
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