正しさのおぞましさ『猫物語 黒』西尾維新
黒い雨が大地に降り注ぐ。さながら、かの人の最期を世界が悲しんでいるかのようだった。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
黒い雨が大地に降り注ぐ。さながら、かの人の最期を世界が悲しんでいるかのようだった。
ああ、喉が渇く。私は忌々しげに喉を掻き毟る。しかし、それでもこの堪えがたい渇きを癒すことは出来ない。
「本物と、それとまったく同じ、区別もつかないような偽物があったとしたら、どちらのほうが価値があると思う?」
「『想い』ってのは大変なものだよね」
大きめの窓を厚手のカーテンが覆い隠している。一筋の日の光すら入ってこない部屋はどこかじめっとした湿り気があった。
我々人類の作り上げた文明とやらが脆くも崩れ去ってしまったのも、もう数年前になります。
私はここ最近、気になる子がいる。
「我らが世界を支配する日も近いな」 「もちろんでございます、我が君」
彼は口下手な人でした。いつも眉間にしわを寄せたしかめっ面をして、不機嫌そうな態度をしていました。
桜の花が舞う季節、私はこれから通うことになる学校の校門をくぐった。緊張と、それ以上の未来への高揚が私の胸を躍らせていた。