働かない者たちが紡ぐニートティーンストーリー『神様のメモ帳』杉井光
とりあえず、どんなところでもいいから仕事に就いて、適当に働けばいい。あの頃のぼくは、そんなことを考えていた。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
とりあえず、どんなところでもいいから仕事に就いて、適当に働けばいい。あの頃のぼくは、そんなことを考えていた。
誰もがその存在を天使だと讃え、その美しい声に涙していました。けれど、私は彼を怪物だと思うのです。
突然、教室に宇宙人でも入ってこないだろうか。授業中、いつでも私はそんなことを考えていた。
僕は最低な人間だった。いろんな人を傷つけた。だから、誠実であろうと思った。僕が誠実でさえあれば、誰も傷つかないと、そう思っていたのだ。
「亡くなった人を蘇らすことは可能だろうか」
恥の多い生涯を送ってきました。なんて有名作品の冒頭を踏襲して言ったところで、私の文章が太宰になるわけでもあるまいに。
ここはミステリ作品の世界である。だから、こんなことが起こるのだ。私だけがそのことを知っていた。
「『ハンニバル』という映画を、君は知っているかな?」
家族は選べない。自分の家族が自分の望んだ家族とは限らない。だからこそ、私は家族のことが嫌いだった。
芸術家というのは、日常を暮らす人間たちとは別の世界に生きている。音楽家もまた、当然のように例外ではない。