婚約破棄された悪役令嬢が魔王と恋する『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』永瀬さらさ
「よい働きであった」 玉座に腰かける我が君の恐れ多い言葉に、私は平伏する。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
「よい働きであった」 玉座に腰かける我が君の恐れ多い言葉に、私は平伏する。
「なあ、学校にさ、もしも悪党が入ってきたら、どうする?」
「ねえ、差別ってどうしてなくならないの?」
彼は英雄だった。彼がいなかったら、今頃、この国はもうすでになかっただろう。 彼が鍛錬している姿を見たことがある。その頃はまだ、...
草木も眠る深き夜に、古びた街路樹の枝に一匹のコウモリがぶら下がっていた。月明かりがその姿を映し出す。
私はもどかしく思っていました。いつも安全圏で祈ることしかできない自分自身に。
私たちの婚約は利害の一致と我が子への愛を果たす親同士の握手によって結ばれた。
私は人間が嫌いだった。彼らの思考回路ほど難解なものはこの世にないからだ。
『勇者は厳しい戦いの果てに魔王を倒し、世界に平和を取り戻しました。めでたし、めでたし』
私はふと気づいてしまった。ここが乙女ゲームの世界だということを。そして、私がその悪役だということを。