でっぷりと太った大柄な男が、ふかふかの柔らかなソファに身体を預けて、パンケーキにナイフを突き立てていた。モノクルが丸い鼻の上にちょこんと乗っかっている。
「キリギリス! お前の言うとおりに投資をしたら失敗したじゃあないか! どうしてくれる!」
私が怒鳴りこむと、彼はいつものように鷹揚な態度で応えた。表情には目尻を下げた穏やかな笑みが貼りついている。
「やあ、友よ。君もパンケーキ食べるかね?」
500円で手を打とう。笑いながらそう言う彼に、私がいらないと答えると、そうかねとパンケーキを口に運んだ。
「話を逸らすな! あんたのせいで私が汗水垂らして稼いだ金が消えてしまったんだ! どう責任を取ってくれる!」
ぜえぜえと息を切らしながら怒鳴る私にも、彼は大して動揺した様子を見せない。ふむ、とそのハムみたいな二重顎に手を当てた。
「心構えはできているのかな?」
「当然だ!」
私は投資に対する考え方を変えた。危険だという考えを捨てて、挑戦してみたのだ。そうしたらこのざまだ! 私の金があっという間に消えてしまった!
「ふむ、準備ができているのなら、もう一歩先に進んでみようか」
「もう一歩、だと?」
キリギリスは首肯して言う。その通り。今までのは投資に向かう心構えを作るための、いわば入り口に過ぎない。
彼は一冊の本をテーブルの上に置いた。
「これからする話は『金持ち父さん貧乏父さん』を執筆したロバート・キヨサキ先生の『金持ち父さんの投資ガイド上級編 起業家精神から富が生まれる』に基づいている」
起業家は何もないところから金を生み出す。その方法を、君に教えようじゃあないか。
より踏み込んだ投資家への道
「例えば、君がクリストファー・コロンブスだったとしよう」
キリギリスが羅針盤の針を回して遊びながら言う。波に揺られてぐらりと足元が傾いたから、私は悲鳴を上げて彼の腰にしがみついた。
「さあ、いざ冒険に! と、すぐさま出発しないだろう? 旅に出るには準備が必要だ」
潮風が生臭い磯の香りを運んでくる。果てのない図書館の天井を、カモメが鳴きながら飛び交っていた。
さあ、何が必要か、わかるかね? キリギリスが大波の中で声を張り上げる。私は飛沫を顔に受けながら答えた。
「船、食料、海図、乗組員、とかじゃあないのか?」
その通り。何事も準備が必要だ。準備なしで飛び込むと、必ず良くない結果を招くだろう。キリギリスは悪戯げに笑みを浮かべた。
「『入門編』は心構えを作るための本だったな。冒険に対する恐怖や不安、胸に湧き立つ冒険心をコントロールすることが、何より大事なのだと説いている」
それならば、『上級編』とは、何を教えてくれるのか。
「『上級編』は食料や羅針盤、船、海図などの道具類と、共に夢へと向かう乗組員の必要性と具体的な調達の方法を教えてくれる」
船は君に富をもたらすビジネスだ。自分が一から立ち上げた船か、あるいは人が作った船に乗り込むのか。
食料は金だな。投資をするには金が必要になる。金は投資には欠かせないが、アイディアによって生み出すことが可能になる。
しかし、冒険に出るには海図や羅針盤といった知識が必要になるだろう。向かうべき方向が分からなければ、君の冒険は必ず失敗する。
多くの人が投資に失敗するのは、投資を個人でしているからだ。優秀な乗組員とチームを組むことで、失敗の確率を格段に減らすことができる。
「コロンブスは当てのない航海の果てに、アメリカ大陸を発見した。誰もが行こうとしない大海原の先にこそ、新たな真実が見つかる」
面舵いっぱーい! キリギリスの指示で、乗組員がからからと舵を転がす。船がギシギシとうねりを上げて傾いた。
「危険の先にこそ宝がある。君は冒険の果てに何を見るか?」
キリギリスが望遠鏡をのぞいてにやりと笑った。彼は私に望遠鏡を手渡した。
私は望遠鏡を覗き込む。小さな島には、溢れんばかりの宝箱がきらきらと輝いていた。
金がなくても投資はできる! 金持ちは無から金を生み出す錬金術師
多くの人は、夢にも見たことのないほど自分を金持ちにしてくれるかもしれないアイディアを持っている。
問題は、たいていの人が、自分のアイディアをもとにビジネスを構築する方法を教えられていないことだ。
君も心当たりがあるんじゃあないか?
ここをもっとこうすれば、効率がよくなるはずなのに。これをこうした商品があれば、もっと世の中は良くなるのに。
そう思ったことがあるんじゃあないのかい?
それは何も知らない素人目線のくだらない発想、だって。そんなことはないとも。
マクドナルドも、フェイスブックも、現代の世の中では当たり前にもなっているビッグビジネスは全部そのくだらない発想から生まれたんだ。
アイディアは何よりも価値のある資産だ。資産からは富が生まれる。アイディアこそが君を金持ちにする。そして、そんな革新的なアイディアは誰しもが心の中に持っているものさ。
じゃあ、どうして実際に金持ちになっている人が少ないのか。それはアイディアをビジネスに変える方法を知らないからだ。
先生はよくマクドナルドを例に出しているね。
マクドナルドよりもおいしいハンバーガーは誰にでも作ることができる。しかし、マクドナルドよりも優れたビジネスのシステムを作ることは難しい。
労働者や個人経営者は製品の品質や価値を重視する。しかし、ビジネスにおいて重要視されるのは製品そのものではなく売り方だ。
逆に言えば、セールスの技術さえ会得すれば、どんな製品でも売ることができる。
しかし、ビジネスを起こすために倒さなければならない敵がいるんだ。それは強大な敵で、君が強い精神力を持っていないと決して勝つことができない。
敵は君の周りの人間たちだ。そして、君自身。
君が行動を起こそうという時、君の周りの人間は君を止めようとするだろう。ともすれば、君自身もね。
「どうせ上手くいかない」「夢の見過ぎだ」「そんなことができるわけがない」「失敗して借金を背負うだけだ」「そんなことよりも真面目に働け」
そんな考えが君を邪魔しようとするだろう。
しかし、決して負けてはいけない。強い信念を持っていれば、必ず、結果はビジネスの成功という形で君のもとに舞い込むだろう。
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