「日本は相手への通告もなしにハワイの真珠湾を攻撃しました。これが太平洋戦争の始まりでした」
先生が黒板に書く言葉を見て、自分もノートに向かう。ボールペンでノートに「太平洋戦争」と書いた。
けれど、そこまで書いたところで、僕は思わず疑問に思う。そもそも、どうして日本はそんなことをしたのだろうか。
その頃、日本は軍部が政治の実権を握り、軍国国家へと姿を変えていた。精力的にヨーロッパを侵略していくドイツとイタリアと同盟を結び、欧米と敵対関係にあった。
しかし、いくらなんでも巨大な国家であるアメリカに対して真正面から戦うなんて正気の沙汰じゃないだろう。
当時は正気じゃなかった、なんて言われても、むしろ戦いを意識していたのなら、当時の日本の高官は現代よりも一層アメリカを危険視していたはずではないのだろうか。
「戦争は日本から仕掛け、そして無条件降伏をして敗北した」
歴史の教師が言っていたこの歴史は、果たして正しいのだろうか。私はその本を読むことにしたのは、そんな疑問からだった。
有馬哲夫先生の『歴史問題の正解』。これだ、と思って本棚から引っ張り出した一冊だ。
そこには、僕が感じていた疑問を解決する答えが書かれていた。すなわち、どうして日本がアメリカに挑んだのか、と。
そもそものきっかけを作り出したのは、アメリカだったという。しかも、それは日本を意図的に戦争へと導くものだった。
アメリカが日本に対して仕掛けた経済圧力。それは、日本からすれば到底受け入れられない要求だった。
石油は戦争資源としても、国民の生活としても有用な資源だ。それを封じられたら、日本は右にも左にも行けなくなる。
だからこそ、日本はアメリカに戦いを挑んだ。それしか道がなかったから。いや、それしか道がなくなるように、誘い込まれたからだ。
原爆投下の後、日本は荒廃した景色を前に精魂尽き果て、ポツダム宣言に従い、アメリカに対して無条件降伏をしたと、歴史では教えられた。
しかし、その本ではまったく異なることが書かれている。日本は無条件降伏なんてしていなかったという。
じゃあどうして、歴史の教科書はこんなにも、この本と相違している点が多いのか。
それは、アメリカの施行した教育改革が、現在にまで影響を及ぼしているからだ。
アメリカは教育によって日本国民が二度と戦争をしないようにした。そのために、戦争に加担した日本国民すべてが悪いのだというように、罪悪感を抱かせるよう教育したのだという。
歴史では、第二次世界大戦中における日本の立ち位置は「悪」なのだと教えられている。
だからこそ、今も日本国民は戦時中の日本の行いに関して自責の念を抱き続けている。
しかし、その必要はないのだと、その本は言っていた。
日本は戦時中の世界を、自国からではなく、アメリカの側から見ている。アメリカからしたら日本は当然「悪」だろう。
アメリカには今でも、原爆の投下は正しい判断だったと言っている人がいる。日本の暴走をそれによって止めたのだ、と。
しかし、原爆の投下を回避する道を、アメリカが見出していたとしたら、どうだろうか。そして、日本もまた、その道を進もうとしていた。
その道を閉ざしたのは、アメリカ自身だ。かくして原爆は投下され、多くの日本国民の命が失われた。
歴史は歴史だ。すでに起こってしまった過去のこと。現代から見れば、当時のことを俯瞰から見ることができる。
だが、当時を生きる彼らはいつだって必死だったはずだ。戦っている兵士たちも、空襲に怯える国民たちも。
何が正解で、何が間違いなのか。そんなのは、過ぎ去ってしまった現代でしか言うことはできない。
もしも、あの時、この道を選んでいたなら。そんな「もしも」をいくら話したところで、歴史はどうしても変わらないのだ。
だったら、僕たちはどうするべきか。歴史は、何のために学んでいるのだろうか。
「戦争が、もう二度と起こらないように」
過去から学び、未来に活かす。それこそが、歴史の学ぶ価値だ。
僕たちの歴史に、正解も間違いも存在しない。答え合わせの丸をつけるのは、未来を創る僕たち自身の指先なのだから。
歴史的事実が教えてくれること
本書は日本、アメリカ、イギリスの公文書館や大学図書館などで公開されている第一次資料に基づいて歴史的事実を書いたものである。
したがって、読者による反論も可能である。私が事実誤認していたということが証明されてしまうかもしれない。歴史的事実がより明らかになるならば、それはいいことである。
第一次資料が明らかにする昭和史は、私たちが教育の場で教えられてきたものとは幸いにしてかなり違う。
反日プロパガンダに対抗するためにすべきことは、歴史的資料に基づき根拠を示すことだ。
決して、相手をとりあえず欺いておくために、でっち上げをしたり、都合の悪いことを隠したりすることではない。
日本人は占領中にアメリカが押しつけたいわゆる「教育改革」によって、先の戦争を自国の側からではなく、敵国だったアメリカの側から見ることを強いられてきた。
第一資料を読んで私が持つ感想は「日本人は先の戦争について議論できる正当な権利を持っている。日本を非難する国に対して、歴史的資料に基づいて反論ができる」というものだ。
日本人は国際社会において、とくに東アジアの国々に対して、もっと胸を張って自らの主張を述べるべきなのだ。
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