イメージが病気を治す『快癒力』篠原佳年


 彼の訃報を聞いた時、私は心底から驚愕した。それも病気が原因だと聞いた時は、何の冗談かとすら思うほどだった。

 

 

 私が思うに、彼ほど死から遠い人物はいなかった。少なくとも、私はそう信じて疑わなかった。

 

 

 彼は健康にはことさらに気を遣っていて、食生活もカロリーまで細かく管理し、毎日運動を欠かさなかった。

 

 

 体格がよく、均整の取れた身体の、爽やかなスポーツマンだったのだ。彼の邪気のない笑顔が頭の中に浮かんでくる。

 

 

 そんな彼が、唐突に亡くなってしまった。彼を知っている人たちは、誰もが驚愕した。彼は仲間内でも一番健康だったからだ。

 

 

 だが、事実は覆らない。彼は亡くなってしまった。その実感がようやくふつふつと湧いたのは、彼の葬式で、彼の妻が泣き崩れる姿を見た時だった。

 

 

 頬を一筋の涙がこぼれる。私は呆然としていた。彼がもう、この世にいないなんて信じられなかった。

 

 

 その記憶ももう、随分と薄れてしまった。あれからもう何年も経つ。彼がいない哀しみも、望むも望まずとも消えていくのを感じていた。

 

 

 彼のことが頭の中に再び浮上してきたのは、いつぶりだろうか。それは、篠原佳年先生の『快癒力』を読んだことがきっかけだった。

 

 

 健康を気にしすぎると、むしろ病気になる。健康も何も気にしない人間の方が、何の病気にもかからずに元気に生きることができる。その本には、そう書かれていた。

 

 

 「病は気から」という言葉もある。病気を怖れ、不安に苛まれることが逆に病気を招くという。

 

 

 気功をはじめ、その本には少しばかり胡散臭い面もあったが、健康を気にすることで病気になる例を、私はすでに一人、よく知っている。

 

 

 誰よりも健康であることを望んでいた彼。そんな彼の日常の習慣こそが病気による最期を導いた。そう考えると、なんとも皮肉なことだ。

 

 

 今、世の中は彼が生きていた頃よりも、はるかに病気や健康の話題が飛び交うようになった。

 

 

 感染症が世界中で流行し始めて、まだ一年。それなのに、世の中は大きく変わり果ててしまった。

 

 

 気楽に外出もできず、大勢で食事をすることは危険で、毎日のように感染者が数を増している。

 

 

 病院のベッドは足りず、飲食業をはじめとする各業界は毎日の苦境に喘いでいる。今や、マスクをつけずに外出している人はほとんどいない。

 

 

 だが、何よりも恐ろしいのは、感染症そのものよりも、それを恐れるあまりに他人への優しさを忘れてしまった人の心。

 

 

 必死で患者と向き合っている医療従事者への差別。会食をする人たちへの人格攻撃。経営難からやむを得ず開店している店に対する口さがない悪評。

 

 

 苦しんでいるのは誰もが同じだ。それなのに、不安のあまり、助け合うことを忘れ、ただ自分自身のためだけに、攻撃をしたり蹴落とそうとしたりする。

 

 

 今、この国は病気なのだ。そのことを実感する。流行している感染症よりも、はるかに恐ろしい伝染病。

 

 

 不安や恐怖、退屈、倦怠、慢心。人々の心に巣食う病が、暗雲となってこの国を覆い尽くしているのだ。

 

 

 感染症を怖れすぎてはならない。対策はもちろん必要だが、不安になり過ぎると、むしろ病気はその隙をついて入り込んでくる。

 

 

 心を強く持ち、他人を思いやる心を忘れないこと。この苦境を乗り切るためには、私たち自身の『快癒力』が必要だと、私は思う。

 

 

病は気から

 

 私は岡山県の倉敷市で病院を開業しています。扱っているのは主に膠原病、中でもリウマチといわれている病気です。

 

 

 といって私はリウマチの患者さんに特別な治療をしているわけではありません。あえて他の医師と違うことといえば、できるだけ患者さんと話し合いをしていることです。

 

 

 その話し合いのポイントは何かというと、簡単に言えば、今患者さんがかかっている病気を本人ができるだけ忘れてしまえるようにすることです。

 

 

 病気に囚われ、病気を気にしていては、いつまでたっても病気は治りません。病気を気にしない、健康を気にしない、これが人生を楽しく生きるコツです。

 

 

 人それぞれ、みんなが「快癒力」を持っているのです。それを上手に活用するかどうかがポイントなのです。

 

 

 患者さんの思い、イメージというものが病気に大きくかかわっています。人間はみなイメージした人生を歩んでいる。病気もまたしかり、です。

 

 

 この本は、病気の人はもちろんですが、本当に読んでいただきたいのは、今健康だと思っておられるあなたなのです。なぜなら、人間は誰でも、生まれた時から病気が始まっているからです。

 

 

 人間は生まれた時から少しずつ死に始めている。死は誰も免れることはできません。それが自然の摂理だと気付いたら、健康も病気も、生も死も、実は同じものだとわかります。

 

 

 病気は自分を知る熱きメッセージであり、死を通して限りある生を学んでいることも知りました。人生そのものもまた、あなたへの熱きメッセージであることに気付いていただけたら、望外の喜びです。

 

 

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