私は昔から引っ込み思案な性格でした。人との会話が苦手で、自分から話しかけることなんてできません。友達といても、彼らとの間には明らかに壁がありました。私はいつも、人恋しさに飢えていたのです。
彼らと自分の何が違うのだろう。どうして彼らにできることが、自分にはできないのだろう。当時は、延々とそんな思考ばかりが頭の中を巡っていました。学校に楽しみを見出すこともできず、生きているのが辛かったです。
そんな私が考え方を変えたのは、図書室で借りた一冊の本がきっかけでした。マーティ・o・レイニー先生の、『内向型を強みにする』という本です。
自分が内向的な性格であることは、私の根深いコンプレックスのひとつでした。それまで幾度となく直そうとしてきましたが、それは私の気質の深いところにあるらしく、一向に直すことはできません。
そんな苦しみの中に見つけたのが、その本でした。いわば、その本は私にとっては最後となる一縷の望みだったのです。直せないのなら、いっそ強みにする。それもできないのなら、私はもう、この苦しみを味わいながら一生を生きていくしかないのです。
果たして、その本は冒頭からすでに、私の心をしっかりと掴んでいきました。外向型の人間が良しとされるこの社会は、内向型の人間にとって、生きていくにはあまりにも厳しい。
私たちはことあるごとに比較され、否定され、外向的でないことを批判されてきました。私の小学生の頃の通信簿には、「同級生が外で遊んでいるのに、いつもひとりで過ごしている」と書かれていたのです。
自分は駄目な人間なんじゃないかという劣等感。私が直そうとして、とうとう直せなかったコンプレックス。ですが、この本は、そんな私を肯定してくれたのです。
内向型には、外向型にない強みがある。だから、直さなくてもいい、と。ありのままのあなたでも、この社会に生きていていいのだ、と。私は、初めて認められた気がして、涙が止まりませんでした。
外向型の人間と内向型の人間の違い。それは、外向型の人間は、人との会話やコミュニケーションを通してエネルギーを得るのに比べ、内向型の人間は自分自身の中からエネルギーを生み出すというところです。
だから、外向型の人間は積極的で人当たりのいい好人物に見えますが、内向型の人間は気難しく行動力のない内気な人間だと見なされてしまいます。つまり、他者からは内向型の人間の強みが見えづらい。外向型はいわばわかりやすいのです。
内向型のテンポは遅く、外向型からしてみればイライラしてしまうでしょう。ですが、内向型の人間は、それらを自分の中で反芻し、熟考することで最適な答えを導き出すのです。
外向型にはもちろん、外向型の強みがある。しかし、かといって、外向型が優れている、というわけではない。どちらもそれぞれの強みがある。
この本を読んで、私はようやく、自分の内向的な性格を「欠点」ではなく「個性」なのだと、受け入れることができました。直す必要などないのです。むしろ、その強みを存分に生かせばいい。それは外向型の人間にはできない才能です。
そのことを自覚することで、私の中にあったコンプレックスが薄く消えゆくのを感じました。私は、私の生き方を行けばいいんだ、と。自信を持ち、胸を張って、顔を上げて。内向型であることを、今では誇りに思います。
内向型の長所
わたしたちの文化においては、外向的な特質が尊ばれ、報いられる。内向的であることに、人々が引け目を感じるのも無理はない。わたしたちは、内省とか孤独とかいったものに否定的な文化の中で生きているのだ。
外向性が健全な成長の結果として当然生まれるものと見なされている以上、内向性は”その逆の心配な特質”とならざるをえない。
世間というこの競技場は少しならしてやる必要があると思う。そこでは、外向型人間にばかりいい評価が与えられている。
そろそろ内向的な人も、自分たちがどんなにユニークで貴重な存在かを悟るべきだ。われわれは、内向性を良しと認める文化的転換期に来ている。もう、適応しよう、などと努力しなくてもよい。
わたしたちは、ありのままの自分の価値を認める必要がある。本書の目的はその手助けをすることだ。
内向的な人は、自分はどこかおかしいと感じることが多く、そのため何をするにも”正しいやりかた”を見つけ出そうとする。しかし、外向型の世界にいるとはいえ、そこでの正しいやりかたが内向型に合っているとはかぎらない。
というわけで、本書は自由に読んでほしい。本書は、あなたにとっていちばんいいかたちで利用してほしい。とにかく、この本があなたのよき相棒となるために生まれてきたことをお忘れなく。
本書は、あなたが自分への充電法を学ぶ一助となるだろう。あなたは計画を立てて、日々の暮らしに取り組むことができる――外向型の人とはちがうかもしれないが、内向型に合ったやりかたで、だ。内向型ならではの強みを讃えよう。
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