集中のプロ、現役東大生から学ぼう!『集中力を高める34のルール』齋藤孝


 世の中には誘惑が多すぎると思う。ああ、きっと現代に釈迦が生まれていたのなら、彼は悟りなんて開けなかったんじゃないだろうか。

 

 

 昔から集中力がないと、先生から言われていた。教科書の隅にラクガキをして、先生から怒られるような、そんな人間だった。

 

 

 でも、さすがに今は、そんなことをしていられない。なにせ私は、今を時めく受験生。人生を決するその日が、もう目前にまで迫っているのだから。

 

 

 勉強しなければ。そう思っている。そう思っているはずなのに、どうして私はノートに書くペンを置いて、マンガなんて読んでいるんだろうね。

 

 

 もう何回も読んだマンガだ。何もこんな時に読む必要はない。そんなことはわかっているのだ。それなのに、どうしても手が伸びてしまう。

 

 

 この世の中には誘惑が多すぎる。私の机の周りには、そんな誘惑が溢れていた。

 

 

 マンガ、ゲーム、テレビ、パソコン、スマホ。ふと気が緩めば、手が伸びてしまう。そして、いつの間にか私は勉強をやめてそれらをしている。

 

 

 このままでは駄目だとわかっていた。自分でもどうにかしたかった。いっそのこと、全部捨ててしまえば楽になろうに。

 

 

「捨ててしまえばいいんじゃない?」

 

 

「嫌です」

 

 

 私の悩みにそんなアドバイスをくれた先生に即答すると、先生は頭を抱えた。いや、でも捨てるのは嫌だ。私がゲームを捨ててしまえば、丹精込めて作った村はどうなるのだ。

 

 

「まあ、先生も経験がないわけじゃないからわかるけど」

 

 

「ですよねぇ。何かいい方法はないですかね?」

 

 

「そうねぇ」

 

 

 先生は少し考え込むように首を傾げた後、あ、そうだ、とばかりに顔を上げた。

 

 

「なら、聞いてみる? 集中力のプロに」

 

 

「集中力のプロ? そんなのがいるんですか」

 

 

「ええ、ほら、ここに」

 

 

 そう言って先生が取り出してきたのは、一冊の本だった。『集中力を高める34のルール』と書かれている。

 

 

「一番集中力が高いのは誰か。それは東大生よ。立場はアナタと同じ。この本なんてピッタリでしょ」

 

 

 貸してあげるから、読んでみなさい。先生はそう言ってにっこりと笑った。話はどうやら、それで終わりらしい。

 

 

 私はというと、本なんて読んでも、自分の集中力のなさが解決するとは思えなかった。これっぽっちも信じていなかったのだ。

 

 

 けれど、さすがに少しも読まず、何も試さないで先生に返すのは気が引ける。仕方がないから、ちょっと読んでみることにした。

 

 

 どうやらそれは、東大生が実際にしている方法を載せているらしい。ご丁寧なことに、どれくらいの人が実践しているか、まで細かく書かれている。

 

 

 その方法がどんなだったか、試してみた東大生の意見も記されていた。なるほど、わかりやすいのはたしかだ。

 

 

 それでも、未だ私は半信半疑だった。書かれている方法はどれも、すぐにできるような簡単なことばかり。

 

 

 本当に、たったそれだけのことで集中できるようになるの? 私はそんなことを思っていた。

 

 

 でもまあ、試してみるか。効果があれば儲けものだ。どうせ、すぐにできるし。そう思って、いくつか実践してみることにした。

 

 

 よし、と、気合を入れてぐっと拳を握る。受験までの時間は、もう本当にわずかしかない。

 

 

 量よりも質。本にはそう書かれていた。さあ、ラストスパートだ。私はペンを手に、ノートを開いた。

 

 

受験生必読!

 

「どうしてこんなに集中できないんだろう」「我ながら集中力がないなぁ」……。誰もが一度はこんな言葉を口に出してぼやいたことがあるのではないでしょうか。

 

 

 「勉強」をキーワードに「集中法」や「受験術」について考えた時、一から十まで真似するのは難しいにしても、参考にできそうなノウハウの持ち主たちがいることに気付いた。

 

 

 それは受験勉強のチャンピオンというべき現役東大生です。彼らは集中力を高めてキープすることに長けているだけでなく、効率的な勉強法を体得しているのではないか。本書の企画はここからスタートしました。

 

 

 本書を制作するにあたり、まず重視したのは東大生たちのナマの声を豊富に盛り込むことです。東大生となった彼らの体験や受験勉強を通じて獲得したノウハウに勝るものはないからです。

 

 

 それらは本文中の随所に盛り込むとともに、参考になる情報が特に多い方の声は体験談として個別にまとめてあります。

 

 

 本書は全6章から構成された各章を順に読むことで、集中力を着実に高めて、より効率的に勉強できるように工夫されています。

 

 

 近年、脳の働きの研究が高度化・深化したことに伴い、集中力を高めたり、維持したりすることに関する知見が広まってきました。本書ではそれらの成果も加味して集中力を身につける方法を具体的に紹介していきます。

 

 

 本書を通読のうえ、ぜひ、できることから取り組んでみてください。集中力は必ずアップし、勉強や仕事の能率がもっと高まるはずです。

 

 

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