子どもの頃、お年玉でもらったお金を見て、そのキラキラに魅了されたのを覚えている。ママに「貯金」として回収された時、「ありがとう」と言いながら、内心では哀しくてたまらなかった。
あの頃のことを、今でも思い出す。その当時は宝物みたいに特別だったお金が、いつしかペラペラの紙切れの方が価値のあることを知って、次第に財布の中に当然のようにあるものに変わっていった。
私の家はお金持ちではない。むしろ貧乏な家だった。私はそのことを幼い頃から知っていた。欲しかったオモチャは買ってもらえたけれど、家は狭かったし、なんでも欲しいものを買ってもらえたわけじゃなかった。
そんな家庭で育った私がどんな人間になったかというと、お金に対して大したこだわりを持たなくなったと思う。使いすぎることはないけれど、かといって節約しているわけでもない。
物欲がないだけなんだろうね。食べたいものは遠慮なく買ったし、本も遠慮なく買った。でも、贅沢をしているというわけではなかったはず。
大人になって改めて思う。私の「おカネ」の感覚は、果たしてどれほど正しいのだろうか、と。こだわりがなかったのは良いこととは思えない。
親は、子どもにあまりお金の話をしないのだという。日本人は特に、「お金の話は賤しい」という考えがある、というのが原因なのだと聞いた。
でも、私の家族はそうじゃなかった。家が貧乏なのだということは物心ついた頃には理解していたからこそ、私は物欲もあまりないまま育ったんだろうと思う。その点に関しては、親に感謝している。
私がこうもお金について考えるようになったのは、ベス・コブリナー先生の『「おカネの天才」の育て方』を読んだことがそもそものきっかけだった。
この本を読んで、お金について子どもに教えるということの必要性と、その方法とかについて、考えるようになった。
特に、自分の子どもがいる今、その時はもう、すぐ間近にまで迫ってきている。愛おしい子どもだからこそ、どうすればいいか。
お金は人生に生まれてから最後の最後までずっと、つきまとってくるものだ。お金がないと、私たちは生きていくことはできない。そんな世の中になってしまっている。
子どもに教えることを避ける、というのは良くない。お金についての教育は間違いなく必要だ。でもそれをいつすればいいか。また、どのようにすればいいか。
現代では特に、子どもでもスマホを持っている。今までよりも、子ども自身が親に知られないまま能動的に行動することだって、できるようになった。
どうすればいいか、あの本には書いてあったはずだけど、ええと、なんて書いてあったかな。もう一度読んでみるのもいいかもしれないね。
私は「おカネの天才」ではない。自分でわかる。毎日の生活費をどうにかやりくりすることが精いっぱいで、自分の親と同じ、貧乏な家のまま。
でも、そう、自分の子どもは「おカネの天才」にすることができるのだ。私の教え方次第で。だからこそ、よく考えないといけない。自分の未熟さにも向き合って、子どもと一緒に、お金について向き合わないと。
おカネの天才を育てる
子どもがおカネのことを持ち出すと、たいていの親はうろたえる。嘘をつく。心配する。先送りする。要するに、人生の中のおカネに関する事実を子どもに教えることを避けているわけだ。
しかも、親にとってはますます厄介な時代になってきた。子どもたちは、昔とまったく違うやり方で、世界に向き合っている。
私は大人になってからずっと、パーソナルファイナンスについて書くことを生業にしてきた。その中で、どうして私たちがおカネの話を避けたがるのか、なんとなくわかってきた。
それは、ほとんどの親たち自身がおカネに詳しくないと感じているからなのだ。そこが問題だ。子どもがおカネをどう扱うようになるかに最も大きな影響を与えるのは親なのだ。だから、子どもが学校に入学する前に、おカネの話をした方がいい。
この本は、親が子どもに教えるべきおカネの話だ。おカネの基本知識はもちろん、おカネにまつわるさまざまなトピックについての「ここだけの話」もある。
リスクはいつになく高まっている。個人のおカネの管理については、ますます「自己責任」の方向に国全体が向かっている。だから子どもにおカネのスキルを授けることがこれまでになく重要になってきた。
パーソナルファイナンスに関して、ほとんどの人が知らないことがある。それは、学ぶべき大切なことはほんの少ししかない、ということだ。
問題は、一般の人に、必死にその教えを忘れさせようとする輩がいるということだ。詐欺まがいの人たちが、おカネを上手に管理するための常識から私たちを遠ざけている。彼らは自分の懐を潤すことしか考えていない。
親がおカネの天才でなくても、子どもをおカネの天才にすることはできる。この本は、将来役立つおカネの原則を伝える助けになる。おカネにまつわる秘訣やスキルの指南書といってもいい。
ここで、この本のダメな使い方を教えておこう。子どもが勝手に自分で読んで教えを身につけてくれるなんて期待しない方がいい。この本は対話のきっかけだ。そしてその対話を始めるのは、あなたなのだ。
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