最近、テレビの広告を見る時とかに、昔とは違う視点でよく見るようになってきた。目当てのテレビ番組の間に挟まってくる邪魔なコマーシャル。実は、そのひとつひとつ、俳優の言葉やしぐさのひとつひとつに、深い意味があるのだ、と。
テレビや雑誌、インターネット、スマホ、現代は至るところに広告がちらりと顔を覗かせている。それらは流れていく光景の中に、いつだって映っているのだ。
私たちが何気なく視界や耳に入れるだけで、あまり気にしていない広告。けれど、その裏にはいろいろな企業の、戦略や魅せ方がある。
昔、私が触れていたのはテレビだけだった。子どもの頃からテレビっ子で、いつもテレビを観て毎日を過ごしていたような気がする。
少しばかり成長してからは、新聞もちょっと見ていた。テレビ欄だけ。小学生からパソコンに触れ始め、高校生になってからは自分の携帯電話を持つようになって、大学生になってスマートフォンを買った。
今の部屋にテレビはないけれど、毎日のようにパソコンのキーボードを叩き、スマートフォンの文字を打ちながら生きている。
スマホも、パソコンも、いつの間にか私たちの生活の中に流れ込んできて、昔からずっといたような顔で、いつも私たちのそばにいるようになった。それらがない生活なんて、今はもう、思い出すことすらできなくなった。
けれど、実際のところ、私はそれらのことを、どれほど知っているというのだろう。広告の裏側を考えるようになった時のように、いわゆるメディアには、ただ便利なもの、という価値以上の何かが潜んでいるのではないか。
小林真大先生の『生き抜くためのメディア読解』を読んだのは、そんな考えからだった。タイトルを見て思う。メディアはもう、「生き抜くため」なんて言われるほどの存在にまでなったのだ、と。
かつては想像もできなかったはずだ。パソコンの使い方を学校で教えるなんて。友だちとのSNSでの交流が、新たなコミュニケーションの形となり、利点も問題も生み続けている。
仕事のデータ管理はほとんどパソコンに任せるようになり、ネットスキルが必須になった。スマホは当然のように持っているものとして、どこにいても会社から電話がかかってくる。
でも、何よりも「生き抜くためにメディアの理解が必要」だと感じたのは、コロナウイルスが蔓延するようになってからのことだろう。
ワクチン接種の希望者は、当初、いまいち伸びなかった。その理由は、ワクチンが必要な高齢者であるほど、ネットに順応していないことだ。
「家にいてもネット予約が可能」だという強みは、パソコンを使い慣れた人にとっては助かることだったが、逆に、使い慣れていない人にとって、大いに出遅れる結果となったのである。
社会は昔と比べて大きく変わった。ネットも、スマホも、かつては姿形すらなかったものだ。この出来事を見ると、社会の変化の激しさを痛烈に感じざるを得ない。高齢者がついていけないのも、当然のことかもしれない。
そして、他ならぬメディアによって、時代はさらに大きく、さらに早く変化していくようになるだろう。多くの人を、置いてけぼりにしたまま。コロナウイルスもまた、今は流行りだが、いずれは歴史のひとつとして時代をさらに進めたものとして扱われるようになるのだろう。
メディアの功罪。もはや、そんなことを考えている暇はどこにもない。善いか悪いか、それ以前に、メディアを使わなければ、私たちはもう、生きていけなくなってしまった。
メディアの分析
2022年、日本の教育界に革命が起こります。この年に、全国の高校で新しい「学習指導要領」が導入されることになったのです。とりわけ大きな変更点があったのは、「国語」の領域です。
新しい国語の授業では、文学作品を学ぶことはもはや必修ではなくなります。代わって今度は、「論理的な文章」や「実用的な文章」が授業で扱われることになりました。つまり、こうしたノンフィクションの文章を分析し、批評するスキルが求められるようになったのです。
また、これまでの国語の現場では、文章の内容を理解することに重点が置かれていました。しかしながら、今度からはそれに加えて、文章のスタイルについて分析するスキルも求められるようになったのです。
そもそもなぜこうした新しいスキルが求められるようになったのでしょうか? そこには、日本の子どもの読解力が現在、急激に低下しているという事実が深く関わっています。
私たちにはメディアを使いこなすスキルが求められています。実のところ、私たちが生きているこの世界は、誰もが情報を自由に発信できる社会、すなわちメディア社会にほかなりません。
しなしながら、多種多様なメディアをどのように分析すれば良いのか、その方法について教えてくれるような参考書はなかなか見当たりません。
この本では現代の情報化社会を生き抜くサバイバル・スキルである「分析力」を身につけることを意図しています。本書を通して、メディアの多様性がもたらす「おどろき」や「おもしろさ」を実感することができれば、筆者としてこれに勝る喜びはありません。
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