妹を追って謎のゲームに身を投じる『カラヴァル』ステファニー・ガーバー
何が本当で、何が嘘か、わからない。これはきっと夢。それとも、現実なのかな。真実は、いったいどこにある?
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
何が本当で、何が嘘か、わからない。これはきっと夢。それとも、現実なのかな。真実は、いったいどこにある?
それは熱狂だった。まさしく、文字通りの。それは大きなうねりとなって、国ひとつを巨大な怪物のように呑み込んだかのように見えた。
私は幼い頃、家が嫌いだった。お化けが連れていってくれればいいのに。暗くなってきた公園で、私はいつも、そんなことを考えていた。
寂しかった。ずっと、ずっと。けれど、何も上手くいかない。私はずっとひとりぼっち。今までも、これからも。
世界が終わった。でも、たとえ世界が終わっても、私は良かったと思う。だって、そのおかげで、私は彼といっしょになれたのだから。
彼らはただの『自衛隊』でしかなかった。私はその時まで、彼らが人間だと思っていなかったのだ。
あれから十年が経った。高校生だった私も、今では経理の仕事も手慣れたもの。それなのに、今でも彼のことを、まるで昨日のことのようにありありと...
幼い頃、父といっしょに『水戸黄門』をよく見ていた。優しい人たちを苦しめる悪人を黄門様一行が成敗するのを見て、憧れを抱いたものだ。
敵になることを運命づけられた二人。それは決して許されない想いだった。
人生は面白い。ほんの些細な日常の中にだって、いくつものドラマが溢れている。あの頃の私は、そんなことにすら気が付いていなかった。