全てはこの時のために『天使の黙示録』望月麻衣
私は選ばれし人間だ。私の想い通りにならないことはない。かつての私は、愚かにもそう信じて疑わなかった。
入館ありがとうございます。ごゆるりとお寛ぎくださいまし。
私は選ばれし人間だ。私の想い通りにならないことはない。かつての私は、愚かにもそう信じて疑わなかった。
彼らと私たちの、何が違うというのだろう。私たちは何もしていないのに、種族の違いはそんなにも大切なことなのだろうか。
彼女のことを誰よりも守りたいと思う。けれど、彼女にとって一番危険なのは、僕自身なのだ。
青春は果てがない。果てがない世界を、私たちは目指すところも知らずただ歩くしかないのだ。私たちは誰もが、ただの迷える子羊に過ぎない。
どうしてこんな力を私が持っているのか、わからなかった。いっそのこと、普通の女の子だったなら、こんな思いはしなかっただろうに。
子どもの頃から赤ちゃんが欲しかった。愛する人との子どもを産んで、幸せな家庭を築くことが私の目指す幸せだった。
何度も、何度も、悲劇は繰り返されてきた。これが運命だというのなら、なんて残酷なのだろう。
窓から見下ろすと、庭師に手入れされた大きな庭が広がっている。生まれた頃から見てきたそれが、今は少し恨めしく思う。
信号もない、穏やかな田舎町。都会の人からしてみれば、のどかな風景だと思うだろう。しかし、その影には得体の知れない何かが潜む。
その時の光景を、私は二度と忘れないだろう。私はその時、たしかに見たのだ。彼女の背に、二対の白い翼が開くのを。