誰からも「わかりやすい」と言われるために『伝え方の教科書』木暮太一
オオカミは遠吠えで獲物がいたことを知らせる。イルカは超音波で会話しているらしい。チンパンジーは毛づくろいで愛情を伝える。どうして人間は、言...
オオカミは遠吠えで獲物がいたことを知らせる。イルカは超音波で会話しているらしい。チンパンジーは毛づくろいで愛情を伝える。どうして人間は、言...
一万円に描かれている人は誰でしょう。福沢諭吉です、と、私は答えた。じゃあ、彼は何をした人でしょう。私はその問いに、答えることができなかった...
クジラたちは同じ周波数の鳴き声で互いにコミュニケーションをとっている。でも、一匹だけ。52ヘルツという高い周波数のクジラがいる。彼の声は、...
投資、と聞くと、つい耳を塞いでしまう。安定した生活が何よりも好きだった。投資なんて、その対極にあるようなものじゃないか。私にとっての悪夢は...
仕事がない。四畳半の汚い部屋の真ん中で、俺はぼんやりと天井を見上げた。スープだけ残ったカップラーメン、潰れた空き缶、空っぽのスナック菓子の...
「好き」ってなんだろうって、ずっと思っていた。夢中になってのめり込めるものなんて、今までの人生の中で何ひとつなかった。「オタク」と呼ばれる...
学校を退学になった。俺と戦争をしているがごとく怒鳴り合いの争いをした教師は、疲れ切ったような、それでいてどこか取り残された子どものような、...
画面を見て、僕は思わず蒼褪めた。買った時はたしかに上を向くと思っていた線が、一気に下を向いて落ちていた。このままだと、まずい。僕は慌てて約...
彼の腕が私を抱きしめる。間近に迫る彼の顔。煽情的に濡れた瞳がきらきらと輝いてきれいだった。私が好きになった瞳。私の親友が好きになった瞳。胸...
幼い頃は早く大人になりたかった。小学生も高学年になると、大人になんてなりたくなくなった。壮年の頃は、子どものような人だと笑われていた。そし...