一生使えるデザインの基礎を学ぼう!『デザイン入門教室』坂本伸二


ディスプレイをぼんやりと眺める。慣れないながらも四苦八苦しながらどうにか組み立てたホームページ。僕は思わず首を傾げる。微かな違和感。けれど、その正体がつかめない。

 

散々やってみた結果が、これだ。胸中に途方もない徒労感が押し寄せてくる。僕ははあと大きくため息を吐いて、大きく身体を伸ばした。

 

そもそも、無理だったのかもしれない。自分にセンスがないことなんて最初からわかっていた。いくらホームページの制作ができても、そこだけはどうにもならないのだ。

 

僕は改めて、自分が作ったページを見てみる。まず、色に違和感を覚える。それぞれはきれいな色なのに、その組み合わせはどうしてだか、気味悪く思えるほど。

 

写真や画像にもなんだか傾いているような気がする。けれど、どこがどう傾いているのかわからない。配置も余白が多すぎて、寂しい感じがした。

 

極めつけは、文字だ。間に画像や空白を挟むことなく、ぎゅうぎゅうに詰め込まれた文字は、自分で見ても読みにくかった。まるで黒い塊みたいだ。

 

あー、ダメダメ。僕は頑張って創ったホームページのデータを、ごみ箱のフォルダに放り込む。もう何もかもが嫌になった。気晴らしに、散歩に出ようと扉を開く。

 

向かうのは行きつけの図書館だ。最近見つけたところで、蔵書数が多いから気に入っている。人が多いのが難点だが、隅の椅子でのんびりと本を読むのが僕の気晴らしだった。

 

図書館の本棚を眺めて、今日は何を読もうかと探していると、ふと、一冊の本が目に入った。僕は思わずその本を手に取る。

 

それは、『デザイン入門教室』という本だった。デザインとは服飾とかそういった類ではなく、どうやら、Webデザインの入門書であるらしい。

 

この本なら、僕の悩みを解決してくれるかもしれない。すなわち、どうして僕が作ったホームページが違和感を感じるような出来になってしまったのか、と。

 

前書きを読んでみた僕は、ある言葉を読んで驚く。「読み手に伝わるデザインを制作するのにもっとも大切なものはセンスではありません」そんな言葉を。

 

何を言っているのか。制作にはセンスが必要なことは、わかりきっているじゃないか。僕が上手くいかないのは、センスがないからだ。そんな、上手くできない言い訳のように重ねてきた言葉を、その本は否定する。

 

なるほど、たしかに入門書らしい本だった。デザインの基本を、画像や文字などを交えた実例を交えて細かく教えてくれる。

 

言葉で示されると、その例はとてもわかりやすかった。画像や文字が少しずれていたり、画像のサイズがおかしかったり、色の選択がおかしかったり。

 

ちょっとした違和感。その正体を、この本はこうもわかりやすく示してくれる。しかも、それだけじゃない。

 

一体どう改善すれば、そのデザインの違和感もなくなるのか。その具体的な改善策が明確に書かれているのは、正直とてもありがたい。

 

その本を読み終えた僕は、さっそく家に帰って、パソコンを立ち上げた。今の僕には、自分が作ったホームページのどこがダメだったのか、その原因がはっきりとわかっていた。

 

ほんの1ミリ。たったそれだけのずれでも、見る人の心には違和感が生まれる。まさかそれほど、デザインというものが繊細なものだとは知らなかった。

 

つまり、それほどデザインをつくる時には気をつけないといけないのだということだ。ほんの少しの違和感も、見逃さず。

 

よし、と僕は改めてデスクトップに向かう。ホームページを、もう一度作り直すのだ。今度こそ、違和感を見逃さないように。

 

 

Webデザインの教科書

 

本書の対象読者は、これからデザインを始めようとしている人や、日々の業務の中でさまざまな制作物・資料を作成しているけれどなかなか思うように紙面を仕上げることができない人、およびデザイナー1年生です。

 

PCやアプリケーションの普及にともなって、今では多くの人が何らかの制作物を作る機会に直面しています。しかし、実際に作り始めてみると、なかなか思うように仕上げることができない場合があります。

 

「私にはセンスがないから」「デザインって難しいですね」と言います。しかし、読み手に伝わるデザイン、心に残るデザイン、読みやすいデザインを制作するのにもっとも大切なものはセンスではありません。

 

本書を読み進めていただければ「卓越したセンス」や「長年の経験」などがなくても、目の前の課題を解決するデザインを制作できることを体感していただけると思います。

 

デザインの歴史や高度なデザイン理論なども、スキルアップしていく過程ではもちろん大切ですが、最初に学ぶべきは「デザインの基本ルール」と「デザイン制作の流れ」の2つです。これらをきちんと押さえておけば、以前よりも見違えるほど良い紙面を制作できるようになります。

 

ぜひ楽しみながら本書を読み進めてください。本書がみなさんにとって良き授業であったならば、この上なく幸せです。

 

 

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