自分の人生を取り戻せ『仮面社畜のススメ』小玉歩


「社畜」という言葉が流行ったのは、大学生の時だった。バイトに時間を費やし、友人たちの間から孤立していく彼らを、僕はどこか侮蔑の目で見ていた。そんな僕は今、就職した会社の「社畜」になっている。

 

「社畜」。社員として会社に飼い慣らされ、自分の意思も良心も持たず、サービス残業や転勤も厭わない、会社の奴隷。それが「社畜」だ。

 

僕は働くのが嫌いだった。できることなら、仕事なんてせずに、ずっと家で過ごしていたかった。けれど、生きていくためにはお金がなければならない。お金を手に入れるには、働かなければならない。

 

正直、仕事について深く考えてはいなかった。なんでもいいと思っていたのだ。仕事はあくまでもお金を得るためのもので、僕の人生の主軸は仕事の外にあるのだ、と、そう信じていた。

 

会社ではそんな本心を隠し、真面目な社員を演じる。上司は優しかったし、覚えたばかりの仕事はそれなりにできていた。その頃までは、順調だったのだ。

 

だが、やがて、できることが増えていくにつれて、仕事が時間内に終わらないようになってきた。「残業はするな」という会社の指示を守るため、上司に言われ、タイムカードを切ってそのまま仕事を続ける。

 

それでも終わらない仕事は、休日に来て私服で働くことでどうにか終わらせた。だんだんと、それが当たり前になっていく。

 

仕事を時間内に終わらせられない僕に、上司たちの態度は冷たくなっていた。休日にも、上司からのお叱りの電話がかかってきた。時にはミスを正すために出勤するよう言われて、そのまま出勤することもあった。

 

今や、会社は地獄だった。だが、接客業だ。笑わなければならない。もう嫌だ。逃げたい。でも、休みの日でも電話はかかってくる。かかってくれば、出なければならない。仕事だ。仕事だから、仕方がない。

 

かつて望んだ、自分の時間が、仕事に浸食されている。もはや、家でも趣味を楽しむ余裕はなく、ただ食べて眠るだけ。会社で過ごす生き地獄こそが、僕の人生だった。

 

大学生の後輩から言われた。「社畜」だと。そうだ。僕は「社畜」になった。会社の奴隷。あれだけ侮蔑していた存在に、自分がなっていたのだと、そこで初めて気が付いた。

 

僕はきっと、このまま生き地獄でずっと働き続けて、やがて死ぬのだろう。尽くしてきた会社からも「仕事の遅い出来損ない」として捨てられ、ようやく仕事から解放された安息を得るのだ。まさに、奴隷そのもの。

 

嫌だ。嫌だ。「社畜」になんてなりたくない。このまま会社で働き続けるなんて、嫌だ。でも、どうすればいい。どうすれば、僕はこの地獄から逃げ出せるんだろう。

 

そんな時、後輩が一冊の本を勧めてくれた。それは、『仮面社畜のススメ』という本である。今の僕にこそ、必要な本なのだと、彼は言った。

 

「社畜」はわかるが、「仮面社畜」とは何だろう。その本によると、「社畜」は会社に利用される奴隷だが、「仮面社畜」は「社畜」のフリをして逆に会社を利用することを言うらしい。

 

その本に書かれていることは、まさに僕が今、置かれている状況そのままだった。今の僕はどうしようもなく、「利用される側の人間」だった。

 

「社畜」と「仮面社畜」の違いは、マインドの違いだという。つまり、「利用する側」の視点で見ることができるかどうか。それだけである。

 

「人生の主導権」。そう、そうだ。かつての僕はそれを持っていた。だが、今の僕は「人生の主導権」を会社に奪われている。本来ならば、僕自身が持っているはずなのに。

 

取り戻さなくてはならない。そうだ。「仮面社畜」になるのだ。このままでは、僕は会社に使い潰されて、「社畜」として一生を終えるだろう。それは嫌だ。

 

利用してやる。会社を利用してやるんだ。そのための方法が、この本に書かれている。その瞬間、僕にはその本が、地獄から抜け出すための、蜘蛛の糸のように思えた。

 

 

利用する側になれ!

 

正直言って、私は会社では嫌われ者でした。クビにもなりました。ですが、私は会社員をやっていて良かったと思っています。なぜなら、私は会社を徹底的に利用し、その経験が今の自分をつくってくれたと感じているからです。

 

ですから、私は若い人たちに「会社を徹底的に利用しろ!」と、声を大にして伝えたいと思います。もしかすると、あなたは、「会社は面白くないけど、辞められない」などと思っているかもしれません。でも、待ってください。本書を読み進めてください。

 

結局、世の中は【利用される人】と【利用する人】に分かれます。しかし、悲しいかな、世のほとんどの人が【利用される人】にされてしまうのです。

 

なぜなら、日本の学校教育が教えてくれるのは「自分の意見を言わない”利用される人”になる方法」だからです。

 

だからこそ、ここで私はあえて言いたい。「会社を徹底的に利用しろ。社畜のフリをした【仮面社畜】になれ」と。

 

実際は、【利用する人】になれるかどうかは、能力ではなくマインドの問題なのです。どういうことかというと、【利用する人】の視点で物事を見ることができるかどうかの違いだけということです。

 

そこで、本書では、あなたが読み進めていくうちに【利用する人】の視点が身につくように書きました。具体的には3つについて書いています。

 

・「環境」マインド……人間関係を含むあなたを取り巻くもの

・「裏ワザ」マインド……仕事に関するスキルやテクニック

・「資源」マインド……お金と時間の使い方

 

私は決して能力が高かったわけではありません。ただ、「人生の主導権」だけは奪われないように生きてきました。「人生の主導権」を奪われれば、結局は一生、他人に利用され続けることになるでしょう。

 

私はいろいろな活動を通して多くの人に接する中で、「可能性のない人はいない」と確信しています。今すぐ本書を読んで、「人生の主導権」を取り戻してください。

 

 

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