心理学がわかりやすく学べる『マンガでわかる心理学入門』渋谷昌三


 人の心はよくわからない。けれど、だからこそ、私はそれを知りたいと思っていた。

 

 

 一時、テレビで『メンタリズム』というものが流行した。人の選択などの行動を手玉に取るそれに、随分と驚かされた覚えがある。

 

 

 調べてみると、『メンタリズム』というのは心理学を応用して行動に流用する、というものらしい。

 

 

 私が人の心に興味を持つようになったのは、それが最初だったからかもしれない。その思い出が私を大学の心理学科にまで導いたのだとしたら、人生何がきっかけに変わるかわからない。

 

 

 けれど、心理学を学ぶのに、早くも壁に当たることとなった。

 

 

 心理学は難しい。基本心理学の講義を取ったものの、教授が何を言っているのかサッパリ理解できなかったのだ。

 

 

 なんとなく言っていることはわかる。けれど、あくまでもなんとなくしかわからない。特に、文章化されたら、もうお手上げといった感じ。

 

 

 私は困り果ててしまった。まさか、心理学がこんなにも難しいものだとは思わなかった。

 

 

「え、そんなに難しいかな?」

 

 

 頭を抱える私にそう言ったのは、大学生になってから知り合った同じ学科のユウちゃんである。

 

 

「たしかに難しいのもあるかもしれないけど、理解は簡単だと思うよ。なにせ、私たち自身が少なからず体験したことがあるはずだから」

 

 

 心理学は「人の心や行動を論理的に分析する学問」である。つまり、私たち自身もそのモデルケースのひとつ。

 

 

 理屈は難しくはない。けれど、心理学を利用する「メンタリズム」に憧れた私としては、理解だけでは足りないのだ。

 

 

「ああ、『メンタリズム』ね。懐かしいなぁ。DaiGoさんだっけ。初めて見た時はたしかに衝撃だったね」

 

 

 私はもう一歩先に進みたかったのだ。心理学の応用。それこそが、私の目指すところである。

 

 

 けれど、私はそもそも、理解の段階でつまづいていた。なんとなく、では、応用には辿り着くはずもない。

 

 

「ううん、まあ、たしかにあの教授は説明がわかりにくいよね。理屈っぽくて」

 

 

 ユウちゃんは少し考えるように、首を傾げた後、そうだ、と何かを閃いたようにポンと手を叩いた。

 

 

「なら、おすすめの本があるよ。ようは、理屈っぽくなってしまう心理学をわかりやすく理解出来たらいいんだもんね」

 

 

 彼女に連れられて図書館を訪れる。我が大学の誇る巨大な図書館らしいけれど、私はいまいち利用したことがなかった。というのも、理由がある。

 

 

「あ、えっと、私、本を読むの苦手で……」

 

 

 しょんぼりといった私に、けれどユウちゃんは笑いかける。

 

 

「心配しないで。その本は難しいやつじゃないから。マンガだからね」

 

 

「マンガなんだ」

 

 

 彼女が持ってきてくれたそれは、『マンガでわかる心理学入門』という本だった。

 

 

 さっそく借りてみて、読んでみることにした。最初は本を読むという行為に苦手意識があったけれど、マンガということもあってスラスラ読める。

 

 

 四コマ漫画に合わせて図や脚注で本当にわかりやすく心理学を教えてくれる。マンガも単純におもしろかった。

 

 

 何より、イラストが親しみやすい。デフォルメされているキャラクターはかわいらしくて、堅苦しい心理学の印象を感じないまま読めた。

 

 

 ちなみに、私が好きなのは花屋のお姉さんである。なんか私に似てるし。人見知りで悩んでいるらしい。

 

 

 講義で教えてもらったけれど、よくわからなかったところも、いくつか解説があった。おかげで、復習にもなったし、新しく学ぶこともできた。

 

 

「どうだった?」

 

 

「おもしろかったよ。それにわかりやすかった。教授の話も、これくらいわかりやすくておもしろかったらいいのにね」

 

 

「教授が泣いてるよ」

 

 

 ユウちゃんは呆れたように笑った。ようやく私は彼女と同じところに立てたような気がした。

 

 

わかりやすい心理学

 

 心理学というと、大学からでないと学べない専門的な学問で、難解でとっつきにくいと感じている人も多いことでしょう。たしかに、心理学のテーマには非常に難解なものも少なからずあります。

 

 

 しかし、その一方でテレビや雑誌などでは心理学がよく引き合いに出されます。

 

 

 こうした心理学ブームが現在も続いているのは、社会状況や自分の生活に、多くの人が不安や焦りを感じていることの裏返しと言えるでしょう。そのような人たちの一助となるのが心理学なのです。

 

 

 心理学とは、一言でいえば「心を科学的に分析する」学問です。心理学を学ぶことによって他人の気持ち、さらには自分の気持ちでさえも、論理的・客観的に理解していくことができます。

 

 

 本書は、あなたの生活の中で起こる出来事や身近なテーマを心理学で分析し、マンガと図解を交えてわかりやすく解説したものです。

 

 

 この本が、読者の皆さんの知的好奇心に応えるものとなることを願っています。

 

 

 それとともに、あなたの日常生活がこれまでよりも楽しく、より良いものになるための何らかのヒントを提供できれば幸いです。

 

 

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